【探究学習】さつま町と旅つくる旅

たびつくる旅 鹿児島県さつま町の旅を終えて

「風が気持ちいい!」「家がでっかい!」「空気が違うね」「お茶畑ってこんなに広いんだ」
鹿児島さつま町に着いた子どもたちの声は、驚きと気づきに溢れていました。東京では体験できないような匂いや音、空気の手
ざわりが、五感をいっぱいに刺激していました。今回の旅は、子どもたち自身が計画を立て、

「行ってみたい」「やってみた
い」を形にした、まさに「たびをつくる旅」という試みでした。中等部の探求学習の一貫として、約5か月という期間を経て、つ
いに実験しました。

子どもたちはそれぞれ「さつま町に行ったら、ここには行きたい!」という場所を決めていました。その一つに紫尾山への登
山ということを目標にしたAくんがいました。登山当日、天気は曇りときどき雨で、霧に包まれた山頂では、景色はほとんど見
えませんでした。けれど、子どもたちからマイナスの言葉が出ることは一切なく、むしろ「霧が幻想的!」「野生の動物に会え
てすごかったね」など、プラスの言葉で溢れていました。山頂に行くまでに、私は工事の人から「今日は晴れてなくて残念だ
ね」と声をかけられましたが、言われるまで「残念だ」とは思っていないことに気づかされました。結果のあることを良しとし
てしまう価値観が一般的ですが、子どもたちはその価値観ではない視点で、今回の登山を経験していたのでした。今回の山登り
の目的は、山頂で美しい景色を見るということではなく、彼らにとって大切だったのは、

「Aくんが行きたいと言っていた、紫
尾山に登る」という体験そのものでした。息を切らし、汗をかき、霧に包まれながら一歩ずつ進む山登りは、その道中からすで
に達成感に溢れていました。

地域の子ども食堂に伺う機会もありました。そこは、初めて会う子どもや大人がたくさん参加している場でした。最初は少し
距離を置いていたトーカの子どもたちでしたが、心のなかでは「関わりたい」と思いつつも、どうやって声をかけていこうか
と、それぞれが葛藤していたように見えます。そんな雰囲気を壊したのは、Bちゃんが「トランプ一緒にやってもいい?」と声
をかけ、ぐいぐいと地域の子どもたちのなかに入っていったときでした。それに続いて、Cくんは得意な絵を活かして、Dくんは
コミュニケーション力を活かして、各々が自分の特技を活かして地元の人とコミュニケーションをとっていく姿がありました。
最後には、地元の子どもたちから「まだ帰らないで!」と惜しまれるほどに、短時間で関係性をつくりあげていました。子ども
たちは、人との出会いを受け身でなく、自分からつくりあげていくものだ、という体験を、実践を通して学んでいました。

登山、子ども食堂、廃校での夜の活動、さつまいも掘り、温泉、名刺交換、フォレストアドベンチャーなどなど、たくさんの
経験をした三日間でしたが、子どもたちからは「できた」ことよりも、自分が何を「感じたか」という言葉をよく聞きました。
すべての旅の行程は、やらなきゃいけないからやるのではなく、心が動くからやってみることばかりでした。大人が用意した経
験ではなく、子どもたちが自分で見つけた出会いと経験でした。人と出会い、そして自分自身と出会うこの旅で、子どもたちの
感じる力は、研ぎ澄まされていきました。

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